仙台のソープランドが摘発され、現地在住の社長が逮捕されたかと思えば、さらに資金提供をしていたとして都内の会社役員も新たに逮捕されました。ソープランドで売春が行われていることは誰もが知っていることで、なぜ今さら”逮捕”者が出るような事件になったのでしょうか。
そもそも「売春」とは? 仙台の事件の概要
売春すると知りながらソープランド店内の個室を使わせたとして逮捕された仙台市内の風俗店経営会社の社長ら男2人が16日、売春防止法違反などの罪で起訴されました。
TBS 2022/11/16
起訴されたのは仙台市のソープランド経営会社「フォレスト」の社長木山義之被告(65)と店長だった久保田信之被告(47)です。
起訴状よりますと、2人は去年1月から今年3月までの間、青葉区一番町四丁目のソープランド「プレジデント倶楽部」で女性従業員が不特定の客と売春すると知りながら、場所を提供するなどしたとされています。
宮城県警は26日、仙台市若林区、会社役員の男(65)、同市青葉区、土木作業員の男(47)を売春防止法違反(場所提供)容疑で逮捕した。会社役員の男は同区のソープランド「プレジデント倶楽部」の経営会社社長で、土木作業員の男は元店長。塩釜署で27日、押収した看板やエアマットなどが報道陣に公開された。
読売新聞 2022/11/28
発表によると、2人は昨年1月~今年3月、同店で女性従業員が客に売春すると知りながら、個室を提供した疑い。県警は2人の認否を明らかにしていない。
売春防止法の「場所の提供」は11条にあります。
(場所の提供)
第十一条 情を知つて、売春を行う場所を提供した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 売春を行う場所を提供することを業とした者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
ちなみに売春防止法では、売春をこう定義しています。
第二条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。
金銭ではなく「対償」とあるので、お金でなくても利得を得る対価ということであれば適用されるのでしょう。
ただ対象は「性交」とありますが、これは「口腔性交」も含むのでしょうかね。
もはや「自由恋愛」という言い分は通用していない
よくソープランドの営業を肯定する意見の根拠として、「あくまで客とキャストが出会って、何するかは自由。恋愛して(性行為含む)何かをしても当人たちの話」というもの(言い分)がありますが、既にこれは通らないと認識でいたほうがよさそうです。
というのも、売春防止法には、「情を知って」という記述があり(上の11条にもある)ます。
これについて過去の裁判で判例に明示されています。
売春防止法一三条一項の「情を知つて」というためには、同項に規定する建物等の提供者において、その提供を受ける者が売春を行う場所を提供することを業とし、かつ、右建物等をその業のために使用するものであることについて、確定的な認識を有することまでは必要でない。
最高裁判例 昭和61(あ)370
これは1986(昭和61年)年、宮崎県の風俗店経営者が売春法違反(場所提供)の容疑で逮捕された事件の裁判の判例です。福岡高裁の判決を不服として原告が最高裁に上告したものの、上で引用した根拠から請求を棄却しています。
この時、原告側は上で紹介した言い分を根拠としていたようです。
(判決全文を見ると、弁護団にあの弘中弁護士がいてちょっと笑いました)
ソープの摘発は時々行われている
逮捕者が出た今回の事件のようなニュースを聞くと、一瞬驚きますが、過去にもソープランドは摘発されています。最近でも、2020年に首都圏で営業している大手の角海老グループが摘発されています。
売春のための場所を提供したとして、、警視庁は、ソープランド老舗「角海老グループ」の店舗の責任者坂口敏(48)=千葉県松戸市竹ケ花=、店長坂本大輔(39)=東京都葛飾区青戸4丁目=両容疑者と従業員の男3人の計5人を売春防止法違反(場所提供業)の疑いで逮捕し、26日発表した。
朝日新聞 2020/8/26
ニュースサイトを調べると、このほかにも摘発、逮捕事案はいくつも出てきます。
その多くが客からの苦情に端を発した、別件捜査からの売防法逮捕のように見えます。たとえば風営法違反の疑いの情報が入ってきて、調べたら悪質だったので結局、売春防止法違反容疑で逮捕した、というようなものです。
当然、同業者、業界に対する”見せしめ”の意図もあるでしょう。
ただソープランドという建前の城を日本から消し去ろうという動きが活発になっているわけでは、ないでしょう。
それにしてもソープで遊んでるところにガサ入れされたら困りますね。。。