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『ルポ新宿歌舞伎町 路上売春』ーー大久保公園で今年80人が検挙された今、「なぜ、何が起きているか」を知るために読みたい一冊


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少し前ですが、高木瑞穂さんの著書『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社、リンク先も)を読んでいたので、感想をまとめておきたいと思います。

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なお交縁やパパ活まわりのトピックに関心がある兵長はこれまでに、中村淳彦さんの『パパ活女子』(2021年、幻冬舎新書)や『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』(2019年、東洋経済新報社)、宇都宮直子さんの『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』(2022年、小学館新書)などは読んでいます。

そのため、ある程度、「なぜ今若い女の子たちが街頭に立つのか」(立たざるを得ないのか)という現状について、耳学問としての知識はあるので、まったくこの手のことについて知らない人が読むとのは違った感想になることはご承知おきください。

付箋つけたのはこのあたりの箇所

まず全体を通して、知らなかったり驚いたりして付箋を付けたのはこのあたりです。我ながらシブい気がします。

逮捕後の手続きで需要なのは、身元引受人の確保もさることながら、本名を伝えることであり23区に3つしかない女子留置場のどこに収容されるかを知ることだ。(略)法律上、女性側は処罰対象にならないので(略)、身元引受人が収容先の留置場に連絡を取れば、早期に釈放される可能性が高い。(15ページ)

ここで目を引いたのは「収容先の留置場に連絡を”取れば”、早期に釈放される可能性が”高い”」というところです。身元引受人になるような立場の人でさえ、どこに収容されたかは分からないわけで、それぞれに電話なり連絡をとるなりするしかないということなのでしょう。

たしかに、刑事ドラマなどで逮捕された容疑者が「●●弁護士事務所の●●弁護士を呼んでください」と求めるシーンがありますが、それと同じような形で「身元引受人の●●氏に電話してください」というのは難しいでしょう。

そもそも身元引受人という立場は法律で定められていないらしいので、事件や事故に巻き込まれた人の家族に警察・病院関係者が連絡してくれるのとはワケが違うのかもしれません。

1957年に施行された売春防止法は、文字通り売春そのものを禁止する法律だが、女性が売春したり男性がその客となっただけでは処罰はない。売春する女性は、売春せざるをえない状況に追い込まれた社会的弱者としてとらえる考え方のほか、自由恋愛を建前にされると、売春行為の立証が困難であるからだ。
ところが、(略)自ら声かけすることは、処罰の対象になる行為の一つーー公衆の目に触れるような方法による「売春勧誘」(5条)で禁止する顕著な例である。(68ページ)

ここについては、前半部分の売春行為の立証が難しく、またその行為だけでは処罰できないということについては知っていましたが、後半の「声かけ」がいけないというのは、「なるほどな」と思いました。だからなのか、立ちんぼの女子たちは自分からは声をかけず、買う側の男性から声をかけられるのを待っているということなのでしょう。

ここでいう「公衆の目に触れるような」というのは、何も周りに人がいるかどうかは、おそらく関係ないのではないか、とも思いました。

婦人補導院とは、補導処分に付された「満20歳以上の女子」が収容される国立の施設で、6ヶ月の間、更生の為の必要な補導を行うと規定している。しかし婦人補導院があるのは、全国で東京・昭島市の東京婦人補導院だけで、2010年以降の収容者数はわずか4人にとどまる。(略)この東京婦人補導院は、2024年4月に施行される「困難女性支援法」に伴い廃止される見込みで、これまでのように売春する女性を保護し構成させるのではなく、福祉の増進を図るよう転換されるようだ。(74ページ)

これについては、そんな施設があって、それも東京だけ、さらに収容者数がそんなに少ないのか、ということに驚いています。

参考:東京婦人補導院(法務省のPDF)

過去には大阪や福岡にもあったものの、昭和のうちに廃止されていて、全国で唯一残った東京の施設すら、その収容者数では実態としても意味はほとんどないと言えます。過去には一定の役割を果たしたのかもしれませんが、既に時代にあわない施設となっているわけで、廃止はやむないでしょう。

本書の全体的な感想

題名にルポとあるとおり、路上売春に従事している(いた)女子数名への聞き取りをされているのですが、関係をしっかり築くところから時間をかけて丹念に行っていることが分かります。また長年、こうしたジャンルの取材を続けてきた高木さんならではの知識と視点にもとづいて、この分野における状況や問題点が整理されています。

最近の大久保公園周辺での立ちんぼ検挙ニュースなどを見聞きして気になっていて、なぜそうなっているのか、どうなっているのかに興味がわいた人が読むのにはいい本だと思います。

【参考・関連】
すでに摘発80人、昨年を約30人上回る…それでも歌舞伎町の“立ちんぼ”が一向に消えないワケ(日刊ゲンダイDIGITAL)
大久保公園の立ちんぼ、今年80人摘発 4割はホストクラブのツケが動機 警視庁(産経Web)
買春客待ち女性80人検挙 歌舞伎町・大久保公園の「立ちんぼ」(毎日新聞)

兵長の感想としては、上でも述べたようにそれなりにこのジャンルの本やニュースを読んできていたこともあって、もっとディープな(またはボリューミーな)ルポにするか、歴史や問題点、課題などの整理についてしっかり読みたかったという気もしました

とはいえ、これは、本書が物足りないということではなく、兵長として「こういうものが読みたかった・知りたかった」ということにすぎませんし、版元から「そんなのじゃ売れないよ」と反論されることも分かっています。

そもそも、この問題は根深く、現代の日本の縮図ともいえると思います。

分かりやすく新宿や歌舞伎町、大久保という物理的な場所・エリアに問題が表出しているのであって、人が多く集まり、いろいろな条件が整った場所があそこだったというだけ。どこで起きてもおかしくない、さらにいうと似たような問題はあちこちで(規模を小さくして)起きているのではないでしょうか。

「この問題」と書きましたが、「何を問題ととらえるか」からして、人によって大きく異なるはずです。

そうであるならば、原因や解決策をどこに求めるかも異なり、前提としてとらまえておくべき状況、ここにいたる歴史的な背景もまた違ってくるはずです。

本書では分かりやすく、題名にルポという名前を冠していますが、ルポ以外の部分にもかなり紙幅が費やされています。それも当然で、ルポにしたって「今ここでこういうことが起きている」ことを伝えるだけでは、”著者が伝えたいメッセージ””や”時代の課題として受け止めるべきこと”が伝わらない可能性があります。

ここにいたる「歴史」や、何かを遮っている「制度や仕組み」、悪く作用している「状況・環境」なども含めて、しっかりと解説・説明しないと、そこから得られるもの(読者に伝えられること)も表層的になってしまう。このため、ある程度、しっかりと説明が必要なのも仕方ない。現在は過去の流れの中にあり、過去を知らなければ今見えることの意味はしっかり伝わらないはずです。

(ただ、これは兵長の脳内での整理の仕方と著者のそれが違うだけなのでしょうが、ときおり、ある個所に書かれた内容が事実なのか分析なのか読み取りづらかったり、時系列の説明が長く、頭の中でタイムラインが整理できなかったりして、ちょっと混乱して何度か読み返したりしました。この分野について耳年増になっているのも良くなかったかもしれませんが…)

総評 今読むのにうってつけ。高木さんの他の著書も読んでいこうと思います

総じて本書は、新宿歌舞伎町・大久保公園関連で報じられているニュースに触れて、(たとえば交縁に行ったことがないような一般のビジネスパーソンが)「なぜそうなっているのか」を知っておきたいなら、今まさに読んでおくといい一冊だと思います。歴史的な背景の解説、制度的な問題点の指摘も、女の子たちへのインタビュー(生の声)もリアルにすくいあげられているからです。

兵長としては、高木さんには『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』や『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ"女子高生"12人の生告白』などの著書もあり、とても有名ですがこれまで(興味は持ちつつも)読んでこなかったので、これから読んでいきたいと思いました。

なお本記事で紹介した『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』と『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』はKindle Unlimitedの対象なので(月額会費だけで)無料で読めます。

  • この記事を書いた人

兵長

おっぱい好きのアラフォーサラリーマン。Tinder、ナンネユーザー。好きなタイプは石原希望ちゃん、Aマッソの加納ちゃん。JK・JDから主婦・既婚者まで。舐め好き。好きな言葉は「Gカップ」。

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